哲学入門 (ちくま学芸文庫)


哲学入門 (ちくま学芸文庫) 筑摩書房 / バートランド ラッセル
価格: 1,050
マーケットプレイス: 576 円 より
口コミ・レビュー: 11 件 ( 平均おすすめ度:star)
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「哲学入門 (ちくま学芸文庫)」の口コミやレビュー

star分析哲学入門
哲学の、歴史ではなく論点を紹介しているので入門書とはいっても充分に刺激的な内容である。哲学は批判によって概念を分析し知識を注意深く検討して誤謬を減らすことができるに過ぎないという謙虚な姿勢や、哲学は問いを目的として論理によってあらゆる可能性を追究し知的想像力を豊かにするという明るい主張が心地よい。 ( 2009-11-30 )
star「知る」について考える
「理性的な人なら誰にも疑えない、それほど確実な知識などあるのだろうか」という書き出しで始まるように、本書は「知識」の「確実性」を巡って展開される。著者の見取りを大雑把に述べるとすると、次のようになろう。知識を「ものに関する知識」と「真理の知識」とに分け、更にそれぞれを「直接的な知識」と「派生的な知識」とに分ける。そして、「ものに関する知識」における「直接的な知識」は「面識」と呼ばれ、更にそれは、知られるものが個物か普遍であるかによって分けられる。また、「ものに関する知識」における「派生的な知識」は、「記述による知識」と呼ばれ、それは、(やや分かりにくいが)何らかのものの「面識」と「真理の知識」の双方が含まれていることが説明される。他方、「真理の知識」における「直接的な知識」は「直観的知識」であり、そうして知られる真理は「自明な真理」と言え、「真理の知識」における「派生的な知識」は、「自明な真理」から「自明な演繹原理」を用いて、論理的に導き出される全ての知識とされる。では、そもそもの「ものに関する知識」と「真理の知識」との違いを特徴付けるものには何か。それは、後者には「誤謬」という問題が生じることである。著者は、真理を、それに対応する事実と「面識」されている時、それを絶対的な保証が与えられた「自明な」真理とし、そうでない場合は、部分的な保証しかされていない「蓋然的な」真理とに分けて捉え、「一般に知識として通用している信念の大半は、程度の差こそあれ、どれも蓋然的な見解なのである」(170ページ)との結論に達する。最後に、「唯一無二の全体に達しないものはいずれも断片的であり、そしてまた世界全体の残りの部分によって補われないかぎり存在しえないのは明らかだ」(173ページ)というヘーゲルの中心的テーゼを批判し、哲学の価値を「主にその不確定さそのものに求めるべき」(190ページ)との見解を打ち出して締めくくる。以上の議論の構築の過程において、「観念論」「帰納原理」「アプリオリな知識」「普遍」といった、過去の哲学徒の議論の主要なテーマについて、著者の視点からの解説が織り交ぜられている点は、入門書の入門書たる所以である。なお、訳文は大変読みやすく、また巻末の丁寧な索引は、対応する原語も付され、詳細な理解を求める読者に益するところ大である。 ( 2009-11-03 )
starものを考えるということ
哲学に限らず、ものを考えるとはどういうプロセスなのかを明らかにしてくれる一冊である。日本人は物事を考えるのが不得意だとよく言われるが、このような書物を読まないからだろう。つまらない漢文だの古文だの教えるよりは、このような書物を教科の一つとして取り入れたらどうだろうか。最近、何とか学者とか何とか評論家がろくでもない人生論や社会論を書いてベストセラーになっているが、この作品を読めば、これらの書物の欠点が白日のもとに晒されるだろう。ものを考える力。これは人間の最大の武器であり、人生にとって最大のよりどころである。 ( 2009-03-08 )
star日常性を疑う勇気
 新たな発見は日常を徹底的に疑うことから始まる。確かなものを掴もうとして始めた旅の絶望の果てから立ち上がるとき、私たちは何ものにも揺るがない強い信念を持つことができるのだ。 ( 2008-11-16 )
starラッセル一押しの名著。初読者には、つまずきのポイントもあるかも。
1)「哲学原理」の直後に書かれた平明な小著。比較的初期の最もラッセルらしい時期の名著。2)数学者で、明快・明晰のイメージが強いが、読んでみると、読後感は少し違う。明快な論理で果断な叙述と、案外好い加減と言うか、俗に言う英国経験的な経験・日常性重視の視点の混合が、読むものの調子を狂わすかもしれない。本書では比較的大人しいが、乱暴極まりない発言もあって、怒り心頭に発する読者もいると思う。しかし、我が身に振返って、自分の日常的思考を鑑みると、むしろラッセル的な考えが受け入れやすいことに気付く。帰納の不確かさのあまり反証主義へ傾斜するような極端さは無いのが良い。ああいう考えが田舎臭く、冴えない感じがしてくる。「真」、つまり真理論でも、信念に基づくが、事実との関係が鍵であること、虚偽の可能性を受け入れておくことが、真理論の基本姿勢というのは、健全に思える。3)過去の思想や哲学の吟味には欠かすことが出来ない、思考のフレームワークと思えるし、この姿勢を拒否したところにalternativeがあるのか疑問だ。でも、かといって、ラッセルの哲学では、やっぱり何だか物足らないことも事実で、これじゃあ、色々言っても、常識の説明会みたいで、難しい本を読んでおかしくなった頭を良識に連れ戻す作用しか思い浮かばないようだ。「整合性の体系」こそ真理の条件だというブラッドレーやドイツ哲学は、胡散臭くもあるが、却って、日常性とは異なる世界観の可能性を示し、それが、時代の診断へとも繋がっていくような気もする。所詮失敗した残骸であっても、そっちのほうが懐かしい気もしてくる。4)そうは言って、独特の文体とキャラクターで兎に角退屈させずに語りきる本書は名著中の名著と思う。 ( 2008-09-26 )